逍遥記

自由気ままに、好きなことをし、感じたままに綴る、それがこの逍遥記です。

2014年06月13日

なぜ不耕起か?
イノシシに大分荒らされた我が家の畑も柵をさらに強化した事によってやっと被害がでなくなりました。
ただせっかく種を撒いていたナスやピーマン、シシトウ、トウガラシなどは発芽せず夏野菜はトマトとキュウリとカボチャだけがかろうじて生き残りとりあえずナスだけは苗を購入し植えた所です。

少し話は変わりますが古代ローマ帝国が滅んだ理由は環境破壊というのは有名な話ですがそれ以外の大きな文明が滅んだ理由もそのほとんどが土壌の悪化にあったという事はご存知でしょうか?

農業は農耕と呼ばれるように耕す事が大前提とされていますがこの農耕によって土壌が浸食され食物が育たなくなり食糧不足になり文明が滅んだという事実はあまり知られていません。
少し詳しく説明すると土壌というのは無機質である岩盤が雨風や熱等の物理的作用とミミズや土壌微生物等の生物的作用により砂や粘土といったものとなり、そこに植物や動物の亡骸の有機物が混ざり合って出来ています。
植物を育てるのに適した土壌というのはこの有機質と無機質が適度な割合で混ざったものでどちらが欠けても植物は育ちません。
このように土壌は物理的、生物的作用で形成されるのですが浸食によって消失ておりそのバランスで成り立っています。
しかし現在の多くの土壌では形成される速度よりも消失している速度の方が速くどんどん失われているのが現状です。
その原因の一つが耕すという行為です。

耕された土壌は不耕起の土地よりもはるかに速い速度で土壌が消失します。耕され雑草が無くなった田畑では大雨や暴風による浸食にあった際に土壌表面を保護するものがなく一気に浸食されてしまいます。
特に斜面を耕起してしまうとその作用は一段と激しいものとなり流れ出た土砂が低地を埋めてしまいより広い範囲において影響を及ぼす事となります。

確かに耕起はそれまで不可能であった土地でも農業を可能としたのですがそれがさらなる土壌流出を加速させる事となりました。

さらに大きな土壌の消失を招いたのがトラクターなどの大型機械の導入で、これによりさらに広大な面積の土地が一気に耕され、土壌消失していきました。
また緑の革命と呼ばれる化学肥料の大量投入は収量を大幅に増大させましたが土壌消失をさらに加速させました。

確かに土壌の浸食は数年では影響がないかもしれませんが数十年後明らかな影響が出始めた頃にはもう元の姿に戻すことができません。一度破壊された土壌は数百年、数千年単位の年月をかけなければ元に戻りません。
しかし現在世界的に深刻な土壌浸食が起こっておりもう取り返しのつかないレベルにまで達しようとしています。

過去の歴史が物語っているのは土壌を破壊した文明は滅びるという事実です。いかに高度な社会文明を持っていようと土壌が破壊され食糧が生み出せなければその文明は滅びるのです。
今その土壌浸食が世界規模で起こっており、全人類が危機にさらされています。

それを救うには不耕起栽培で土壌の保全を図りつつ食糧を得ていく事ではないかと思います。

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