逍遥記

自由気ままに、好きなことをし、感じたままに綴る、それがこの逍遥記です。

2015年07月07日

アマチュアだからできる事
昨日の午前中は全然患者さんが来ず暇だったのはやはりみんな女子W杯を見ていたからでしょうか。
結果は見ての通り大差での負けでしたが準優勝、さらに主要3大会連続の決勝進出は素晴らしい結果だったと思います。

決勝だけを見れば確かに残念な結果でしたが個人的な感想としては、最初の一点目が全てを決していたように思います。
試合開始早々のコーナーキック、最も注意しなければならないという事は監督含め選手が一番よくわかっていたはずです。日本に比べて高さやパワーで圧倒的に優位のアメリカは、普通に考えれば自分達のストロングポイントである高さを生かしたセットプレーを仕掛けてくるのが頭にあったはずでその対策は十分されていたはずです。
それがまさかのグラウンダーの鋭いボールという攻撃にあっけなくやられてしまいました。
これはアメリカが日本に対し自分達が挑戦者であるという事を如実に示したプレーだったと思います。これまでのアメリカであれば圧倒的な身体能力を武器に日本からの挑戦を受けて立つという王者の感じがあったのですが、今回は全く異なり、どんな手を使っても勝ちに行くという姿勢が見られました。
徹底的に日本を研究しこれまでのような隙は一切見せないという感じがありました。

このアメリカ予想外の攻撃に浮足立ってしまった日本はその後立て続けに失点、その後選手交代やシステム変更で攻撃的なサッカーに転じましたが最初の得点差を埋める事が出来ませんでした。

ネット上では佐々木監督の選手起用に関して苦言を呈するコメントもありましたがそれらのコメントに対して言いたいのはそれはあくまで結果論であるという事です。
誰も負けようと思ってサッカーはしていないはずですし、その最善を考え実行していたはずです。確かに決勝だけみれば結果は出ませんでしたが、監督の仕事の中で試合というのはほんの一部であり、それまでの選手選考や練習といった代表に関わる全てが監督の仕事という事を忘れてはなりません。
今大会は前回大会に比べて世界各国のレベルが格段に上がっており、各国に比べて身体能力やサッカー環境で厳しい日本をここまで勝ち進めたのは、やはり監督の手腕が大きかったように思います。

なにより印象的だったのは試合後の佐々木監督が”選手たちと楽しくサッカーを積み上げてこれて幸せだった”と言ったコメントです。
これまでの監督でこのようなコメントを残し実際に楽しくサッカーができた監督はほとんどいなかったと思います。
楽しくサッカーをするというサッカーやスポーツにおいて一番大切な要素であり上達の鍵だと思います。

男子の代表に比べてなでしこが厳しい状況の中で結果を残せている理由はチーム全体がサッカーを楽しめているからだと思います。
その楽しむ力が対戦国や準決勝でのオウンゴールなどの幸運を呼び寄せたのではないかと思います。

それから、なでしこ選手たちの待遇に関してですが、彼女たちのほとんどが働きながらサッカーをしており、厳しい現状と言われています。
確かに働きながらサッカーをするというのは肉体的にもきつい事もありますが彼女たちがアマチュアである事が真摯にサッカーに向き合う事が出来たり、一般社会での経験が人としてのコミュニケーション能力の向上に繋がっている事を忘れてはなりません。その社会人としての経験がチームの中での自分の役割、チーム全体として何をすべきかという理解にも役立っていると思います。

個人的な意見をしてはプロ化する事よりも働きながらでもサッカーが出来る環境作りが大切だと思います。
社会で働くという経験がサッカーに対する視野を広げ、引退後もそのまま自立する事へと繋がっていきます。

プロ化していないからきついではなく、プロ化していないからこそこれだけの結果が残せたと言う点にもう少し考えるべきポイントがあるように思います。

最後に、なでしこジャパンの選手、監督、スタッフのみなさん準優勝おめでとうございます!

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